新型コロナ対策補正予算案の問題を指摘し賛成討論⋯飯塚市議会で川上直喜議員

 

7月臨時議会(21日から27日)の最終日、新型コロナ対策の一般会計補正予算案第6号について川上直喜議員は、問題点を指摘して賛成しました。討論を紹介します。

 

 日本共産党の川上直喜です。私は、ただいまの総務委員長報告にありました議案第86号原案に賛成、一部予算削除を求める修正案には反対の立場から討論を行います。

 今回補正はすべて、新型コロナ感染症対応のためのもので、その規模は11億1700万円です。

▼連帯してたたかわなければならない重大局面

 WHO世界保健機関の昨日7月26日午前10時公表によれば、国際社会における感染者数は、24時間で20万625人増加し、1578万5641人、死者は同じく24時間で4823人増加し64万16人と深刻化しています。

 国内の感染者は報道によると同じく昨日26日、午後11時10分の時点で新たに836人が確認された。23日の981人に次いで過去2番目に多く、累計では3万人を超えた。感染者3万1452人、死者は1011人となりました。福岡県では感染者は昨日の1日で過去最多90人増加し1425人、死者33人とです。飯塚市では感染者のべ16人、死者1人です。いつ感染爆発が起き、医療崩壊が起きるかわからない、極めて緊迫した事態です。

 私は、パンデミック収束への国際協力について、①医療・保健における大規模で包括的な協力②途上国に対する国際的支援③世界の紛争地での即時停戦、核兵器廃絶をはじめ軍縮を行い、コロナ対策に力を集中する④富裕層などへの課税でコロナ対策の財源をつくるなど、より公正な世界をめざす、この4点が重要だと考えます。

 いま人類はあらゆる知恵を発揮し、この危機を乗り越えるために、連帯してたたかわなければならない重大局面を迎えています。

▼市民の声が一部反映した一方で、極めて不十分な課題が

 片峯市長は、この深刻な事態を打開するために、さらにやがて到来する複合危機から市民の命と暮らしを守るために、市民と議会、国、県との連携を強め、きめ細やかな対策のために思い切った財政出動をすすめなければなりません。

 私はすでに一般質問において、3月議会では、当初予算に新型コロナ対策予算が1円もないことを厳しく指摘し、国の対応がもたもたしている中で、過去最高水準にある財政調整基金の活用を含めて財源を確保し、暮らしアップ9億円プランと呼んで、ごみ袋代、児童クラブ利用料、学校給食費については当面、半額軽減とし、保育所と子ども医療費の無料化を提案しました。

 さらに6月議会では、①PCR検査体制はインフルエンザ発熱の広がりと市内120医療機関の規模を考慮してせめて60カ所②ひとり親世帯の生活保護世帯の差別的取り扱いをやめ5万円を支給③介護と障がい者福祉の現場の労働者に3万円支給④中小企業事業主に個人事業主を含めて30万円を支給する⑤学校はアルコール消毒薬による清潔の保持、心身のケア体制、20人学級程度のクラス運営⑥水道料の一定期間の免除⑦最後のセーフティネットである生活保護利用世帯への生活補給金の復活を提案しました。

 この提案に対して市長は6月議会で、「質問者の試算は、私が財政当局と一緒にシミュレーションしている将来の見通しと随分違う。もし質問者のおっしゃるような明るい見通しであればいいし、今質問者がおっしゃっているような対応も、今後、必要かもしれない。市民生活を維持するための経済政策と命と安全を守るためのコロナ対策と両方やっていかなければならない」と答弁しました。

 これに対して私は、「この格差社会の中でコロナ危機を迎えた。きょうを生きていくために、きょうの仕事を守るために、人権を守るために現金がいるというこの時代に、予算規模が700億円の飯塚市がわずか10億円足らずだ。『ここで一緒に生きよう、だれひとり取り残さない』、そういう市政を市民は求めているのではないのか」と重ねてただし、市長は再度、答弁に立ち、「川上議員の視点も熱い思いもわかる。本当に生活的に厳しい方、そして事業を続けたくても続けることが難しい方等々をしっかり見落とさないように実態を把握し、常に気持ちと頭から離れないように取り組んでいきたい」と述べました。

 果たして今回補正は、市民の命と暮らしを守る方向に向いているか、そのきめ細やかさはどうか、スピードはどうかが、市民によって厳しく問われるところです。

 今回補正について、私が注目したところは、①ごみ袋(中)の1世帯に2本の配布に1583万円②新型コロナとの同時流行を防止のためのインフルエンザ予防接種について一部助成1億220万円③新しい生活様式対応事業者応援金3850件予定で3億8500万円④テナント入居事業者事業継続応援金・国や県の制度の利用者外2234件予定の2億6800万円です。これらには、規模が小さく、スピード感に課題がありますが、市民の声、また、日本共産党の提案が形を変えて一部反映したのもがあります。

▼パンフレット、ハンドソープ、エコバッグ、ごみ袋の配布

 ここで指摘しておかなければならないことは、市民向け啓発パンフレット、ハンドソープ、エコバッグ、ごみ袋の選び方と配布方法については、その目的に従って、すべての市民にたいし、スピード感を持って、市民に負担を押し付けずに、公正におこなえるように、市民の意見を反映させておこなうよう、急いで再検討しなければならないということです。

 不十分な点については様々にありますが、特に、複合危機の回避に必要な避難所の感染防止対策がきわめて不十分ではないかということです。避難所対策費用6700万円は、ナイロン製のパーテーション、仕切り1830台、簡易ベッド150台(1台3万円)、防護服300式(1着5千円)です。風水害の緊急指定避難所47、指定避難所は24箇所を合わせると現在71箇所ですから、これではまにあいません。いざというとき防護服が足りず、市職員が感染の危機にさらされることになります。

 飛沫感染の危険性の高い雑魚寝(ざこね)を避けるために、段ボールベッドを導入する自治体も増えています。今回購入する備品は避難所ごとに分けて考えるときわめて不十分です。ところが市は、「とりあえずはこれでいく」(防災安全課長)との答弁です。急いで見直す必要があります。福祉避難所の視点での対策も急がれます。

▼9月を待たずに打つべき手を細やかに打つ必要が

 新型コロナ感染症対応で、市が独自に行った対策の費用は59億8千万円とのことです。市の財政調整基金の活用は、市の貸付制度のための預託金、プレミアム応援券を差し引いた額から、国の臨時交付金1次2次合わせた19億5千万円を外してみると、わずか8億3千万円という計算になります。

 本市には今回補正のあとにも、いざという時に活用できる基金がなお103億7200万円あるし、財政調整基金・減債基金・ふるさと応援基金合わせたものですが、必要なら借入を行うこともできます。

 複合危機を回避し市民の命と暮らしを守るために、しっかりした財政出動を行うときは、いまこの時です。9月補正に向けた作業がおこなわれていると思いますが、9月を待たずに打つべき手を細やかに打つ必要があります。

 最後に、市民の命と暮らしを守るために、日本共産党の3月議会での5つの提案、6月議会での7つの提案、この2つの提案の検討、とりわけPCR検査体制、医療体制の強化など感染防止対策の抜本的充実を国、県に強く要求し、市長が責任を果たすよう求めて、私の討論を終わります。

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