関の山の石灰石鉱業権を放棄を議決⋯日本共産党が反対討論

飯塚市が関の山に持っている石灰石に関する2つの鉱業権の放棄を3月17日、市議会が多数で議決しました。日本共産党の川上直喜議員の反対討論を紹介します。

権利の放棄(山倉ほか)についてです。

▼12月議会で関の山鉱山株式会社への鉱業権および市有地の売却議案を、議会が否決した現在、市長が地元住民と議会の決意を真摯に受け止めて行うべきは、第1に、「地元住民の合意がなければ鉱業権も市有地も売却しない」とした国も認めた立場を踏みにじり、関の山鉱山会社と売買の仮契約を地元にも議会にも隠れて結び、議会に売却議案を提出したことを謝罪すること、第2に、麻生セメントのためというべきか、鉱業による利益のために地元の公共の福祉を犠牲にするという、住民福祉を図ることこそ地方自治の本旨とすることを明らかにした本市の市長としてはふさわしくない思考を改め、将来にわたって関の山を守る決意を内外に明らかにすること、第3に、鉱業権に対して最も有効な対抗策として市有地を手放さない宣言をおこない、第4に、農業用水確保のためのポンプ運転維持など鉱害賠償行為の放棄について、関の山鉱山株式会社に厳しく抗議し復旧を要求するとともに、自ら優良企業ではないことを認めたものと指摘し、九州経済産業局長に通報し是正措置の指導を求めることです。

▼「関の山を守りたい」「鉱害は許さない」とした請願第1号を大切にする立場に立つならば、市長は、①鉱業権を自ら放棄せず保有継続を国に求めること②先に述べた地元公共の福祉を守る立場から、鉱業法第15条(鉱区に関する制限)、つまり、「公害等調整委員会において、鉱物を掘採することが一般公益又は農業、林業若しくはその他の産業と対比して適当でないと認め、鉱物を指定して鉱業権の設定を禁止した地域(以下「鉱区禁止地域」という。)は、その鉱物については、鉱区とすることができない」の規定に基づく措置を求めること③市有地を売却しないこと④保安林を解除させないこと、この4点が大切です。

▼本市が所有する2つの鉱業権について、採掘着手延長許可が8月末に期限を迎えることになると、九州経済産業局長による鉱業権の取り消し決定の手続き、鉱業権取得を希望する事業者公募開始手続きまで相当期間がかかります。このかんに先に述べた4点を行う時間は十分にあります。

▼にもかかわらず、市が自ら鉱業権を放棄すれば、その時間を失うことになります。しかも、①市有地売却について市長が、鉱業の利益のためには協力せざるを得ないという立場を撤回していないこと、②鉱業権売却議案否決のあと関の山鉱山株式会社が12月16日農業用水供給ポンプの維持管理を放棄すると地元に通告し、入水自治会長と生産組合長の深刻な相談を受けた商工観光課長及び庄内支所経済建設課長の担当課長らが「市長にも部長にもその他の関係課長にも伝えなかった」と議会で答弁したこと、③12月24日売買仮契約書解消合意書を関の山鉱山株式会社が快く受け入れたと答弁したこと、を考慮すれば、不透明な動きは拭いきれません。鉱業権放棄を可決することは、関の山を守るたたかいにとっては不利、関の山の鉱業権獲得と採掘を急ぐ勢力には有利ということになります。よって、私は鉱業権放棄の議案にはきっぱり反対です。

経済建設委員長報告のうち関連部分を紹介します。

経済建設委員長報告0317

次に、「議案第41号 権利の放棄(山倉外)」については、執行部から議案書に基づき補足説明を受け、審査いたしました。 まず、本会議において審査要望のありました「放棄理由の一つ に挙げている、関の山鉱山株式会社以上の優良企業は、現在も今後もないということの確証」については、経理的基礎、 技術的能力、社会的信用の主要件を満たすこと、採掘事業の 操業以降の実績及び、安全管理においても国から優良であるとの表彰も受けていること、また何より、当該企業は市の 所有鉱区に隣接した田川市側で操業してあることから、仮に他の 事業者がこの鉱業権を取得した場合に、操業が極めて困難である ことが明らかであり、今後も他の事業者が現れないと判断 しているという答弁であります。

次に、「今回の議案に交渉実績のない、福岡県採掘権登録 2472号(甲区)が含まれているのはなぜか」ということにつ いては、これまで2鉱区とも同じ理由により事業着手を延期して おり、今後も2鉱区ともに事業着手の見込みがないこと、また、昨年提出された「飯塚市所有の鉱業権(山倉、綱分地区)に関する請願」は、2鉱区双方に関して提出されたものと理解して おり、この請願が採択されたということは、同地区の「鉱業権 及び土地の譲渡反対」に対する飯塚市議会を含む地元住民の 意思の表れであり、今後も合意を得られる見込みがないという ことで、2鉱区ともに鉱業権を放棄するものであるという答弁で あります。

次に、「国に対する『放棄による鉱業権の消滅登録申請』を 行う際、権利を放棄する理由等を意見書として添付しないのか」 ということについては、「放棄による鉱業権の消滅登録申請書」 には、鉱区所在地、登録番号、登録の目的の3項目についての 記載事項があり、そのうち登録の目的には、「放棄による採掘権消滅の登録」と記載することで要件を満たすことから、特に 意見等を付記することは考えていないという答弁であります。

次に、「放棄した鉱区について、他の民間事業者が新たな 鉱業権の取得申請を行えないよう、市として取り組めないか」 ということについては、現在所有している鉱業権については、 「資金難のため」、「採算が取れないため」、「地元合意の出来る 適切な事業者が現れるまで」等の理由により、事業着手の 延期認可を受けてきたものであり、権利を放棄するからといって、 その鉱区を制限する要望を行うことは、これまで継続してきた 行政の意思と相反するものと判断し、現在のところ、市として 取り組む考えはないという答弁であります。

次に、「地上からではなく、地下から採掘が行われ、振動や 騒音、水への影響もないような工法により、地域の方々に 迷惑をかけず合意が得られる事業者が現れるまで、事業着手の 延期申請は行えないか」ということについては、九州経済産業局 や経済産業省資源エネルギー庁によると、技術的には可能で あっても、採算ベースに見合わない工法は採掘許可が認められ ない可能性が高いとのことである。また、提案された工法は 現実的には極めて困難な工法であり、このことを理由としての 延期申請は出来ないと判断しているという答弁であります。

次に、質疑応答の主なものとして、この議案が否決され、あと 延期期限が切れた後はどのようになるのかということについては、放棄の申請も事業着手の延期申請もしなければ、鉱業権の取り消し処分ということになるので、鉱業法第56条の規定により、九州経済産業局から本市が聴聞されることとなるが、聴聞会開催の後、早ければ年末に鉱業権取り消しの処分が確定することになる。また、この処分に対する不服申請も可能で あるが、不服申請を行った場合には裁判になることもあり、 さらに処分の確定が延びる可能性があるという答弁であります。

以上のような審査の後、本案については、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。