小川洋福岡県知事は10月11日、飯塚市内でメガソーラー設置を目的に森林開発を進める2事業者の林地開発許可条件違反(森林法)を確認し行政指導をしたのに、林野庁の通知にもかかわらず国への情報提供を遅延させていたことを認める答弁をしました。遅延の理由は明らかにしないままです。高瀬菜穂子県議(日本共産党・小倉南区)が決算特別委員会で重ねてただしたのに答えたものです。質疑応答を紹介します。
2事業者はノーバル・ソーラー(茨城県)と日本エネルギー総合システム(香川県)です。行政指導について前者は従わない工事をしている疑いがあります。後者は、従わなかったことを認める知事答弁がありました。情報提供を受けた九州経済産業局が、他法違反で認定取り消しもあるとした改正FIT法に基づいて、どういう対応をするか注目されます。
この質問には地元から多くの住民が傍聴に詰めかけ、知事の答弁を聞きました。(写真は県議会傍聴の状況を報告する地元での宣伝の様子です)
▽高瀬菜穂子委員 飯塚市の白旗山では、複数の事業者によってメガソーラー建設のための、34ヘクタールの林地開発が進められております。そのうちの一つ、ノーバル・ソーラーは林地開発の許可条件として義務付けられている防災施設、調整池を先行してつくらずに、本格的な森林伐採と造成工事を行いました。また、同じく飯塚市の馬敷、金毘羅山でも、日本エネルギー総合システムという業者ですが、メガソーラーのための林地開発を行っており、同様に調整池をつくらずに森林伐採を行いました。この二つの事例は、明らかに許可条件違反です。これは成末課長もお認めになりました。許可条件違反は法令違反と林野庁も明言をしております。森林法違反です。さらに林野庁は、森林法10条の3において、無許可の場合や許可条件に違反した場合は、監督処分に課すことになっていると言っています。この二件については、監督処分にすべき事案だというふうに思うんですね。ところがですね、林野庁は、森林法違反があった場合は、各都道府県に対して所管の経産局に報告するよう通知を出しているんですよね。その報告さえ、課長はしていないと先日の決算特でお答えになりました。私もほんとにあきれるんですけれども、この監督処分ということについてですね、知事、決断をしていただきたいというふうに思います。県の認識も対応も甘すぎます。監督処分にすべきだということ。これについて知事のご所見をお伺いします。
▼小川洋知事 お答えを申し上げます。本県におきましては、林地の開発の許可にあたりましては、事業者による施工中の災害発生これを防止するために、「防災施設は本工事に先行して施工すること」これを条件として附しているところでございます。しかしながら、今回の事案では、防災施設であります調整池の完成を待たずに森林伐採が行われ、造成工事にも着手をされております。これは許可条件に反する行為であり誠に遺憾であるとこのように思っております。林野庁の通達によりますと、迅速かつ柔軟な対応が可能である行政指導に、相手方が従う場合には、その行政指導を積極的に活用することが効果的であるというふうにうたわれております。このため県といたしましては、直ちに監督処分を行うのではなく、防災工事以外の行為の中止と防災工事を早期に完成するよう文書による行政指導を行ったわけであります。この文書による行政指導につきましては、今ご指摘がありましたように、通産省への情報提供が必要でございましたが、これが遅延しておりました。このためその事実を確認後、速やかに経済産業省および林野庁へ情報提供をさせていただいたところであります。いずれの事業者につきましても県の行政指導に従い造成工事を中断をし、調整池の完成を優先する工事を今行っている状況にございます。現時点では、開発行為の中止などの監督処分を行うことは考えておりません。
▽高瀬菜穂子委員 先日、林野庁に報告をしていなかった件については、その後報告をされたということですね。しかしながら今のご答弁でも、誠に遺憾だと言いながら監督処分を行うことは考えていない。おかしいんじゃないですか。この二つの業者というのは、大変悪質ですよ。ノーバル・ソーラーは、3月25日の住民説明会で、許可条件に基づいて林地開発を申請し許可されたにもかかわらず、森林伐採に先行しなければならない防災工事を、並行して進める工程表を示しているんです。鼻っから防災工事を優先するつもりがなかった、許可条件に従うつもりがなかった確信犯だということが伺えます。日本エネルギー総合システムは、「太陽光発電のガイドラインは全部読んでいない」とか、「ガイドラインが全部正しいと思うのはまちがい」とか「飯塚市の環境保全条例は産廃のためのもので、太陽光は対象外」だと言い放つ、コンプライアンス意識が非常に希薄な問題のある企業です。どちらも、法令遵守義務を定めた改正FIT法、改正FIT法はですね、法令順守を非常に厳しくいっているんですね。そして住民合意がないところにはつくっちゃいけないと言っているんですよ。抵触する事案ですよ。悪質だと思われませんか。知事はどのように受けとめられますか。
▼小川洋知事 先ほどご答弁いたしましたように、森林伐採と造成工事、防災施設の完成を待たずしてその伐採と工事に入ったことは、許可条件に違反する行為だということで、遺憾であるとお答えした通りであります。ただいずれの事業者も、今県の行政指導に従いまして、造成工事を中断をし、調整池の完成を優先する工事を今行ってるわけでございます。県としましては、この防災工事を早期に完成するまで、失礼、防災工事を早期に完成をする。それを見るまでは造成工事を再開しないよう、引き続き強く指導していきたいとこのように思っております。
▽高瀬菜穂子委員 誠に遺憾であるということを繰り返しお答えになりながら、県の指導に従っているとおっしゃるんですけど、従ってないから遺憾なんでしょ。白旗山の林地開発はですね、8,700人の住民がすぐ、住んでいらっしゃるすぐそばで行われています。知事はここ行かれたこと、見られたことありますか。ここ見られたことありますか。
▼小川洋知事 現地、行ったことありません。
▽高瀬菜穂子委員 ぜひ現地に行っていただきたいと思います。この住民側が当初から反対しているのはですね、この周辺は土砂災害警戒区域と特別警戒区域に指定されているんですね。周辺が。ここはほんとに住宅地のすぐそばです。調整池をつくらずに林地開発をされた光景を見て、私ほんとうに驚きました。住んでるのが怖いと思います。それからもう一箇所の馬敷ですけれども、馬敷の金毘羅山、ここは地域、その地域のほとんどが土砂災害警戒区域、または特別警戒区域のなかにあるんです。ですから農林水産委員会には何度もこの請願がですね、「止めてほしい」、「慎重に審議してほしい」、「森林審議会にまだかけないでほしい」、こういった請願が何度も出されたんですよ。その際ですね言えばいろんな手続きなんかもあったんですよ。そもそもね、ここは開発を許可していいところではないです。規制をかけるべき所なんですよ。しかし今の法律では、森林法ではこれを許可せざるを得ないということで進んできたところです。ですから工事をするにあたってね、無視は許されないところだったと思うんです。しかもね、そういう中にありながら違法な開発を行ったと。その結果、どうなったかと。白旗山では、雨水のほかにボタ山の湧水が止まらず、かつて埋め立てられたと思われる土砂が崩れ落ち、大変危険な状態が続いていると聞いております。開発区域外の子どもたちの通学路でもある市道への災害の拡大も繰り返されています。金毘羅山では、防災施設ができていないのにですね、防災施設が出来ていないのに許可区域の9割の伐採が行われたんですよ。これで行政指導に従っているというのがね私はほんとに理解できないです。禿山になっているんです。近隣住民に対して、非常に危険な目に遭わせているじゃないですか。県の責任が問われると思うんですけれども知事の見解を伺います。
▼小川洋知事 施工中の災害発生防止これを実現するためには、防災施設であります調整池を早期に設置をする必要がございます。このため、県では、いずれの事業者に対しましても、調整池の完成を今急がせてるわけであります。仮設の調整池、急がせるとともに仮設の調整池を設置をさせ、災害の発生防止に努めるよう指導してきているところであります。その工事の現在の進捗状況、報告させていただきますと合同会社ノーバル・ソーラーの調整池は11月中旬に完成する予定でございます。また日本エネルギー総合システム株式会社の調整池につきましては、昨日完成をしておりまして、それを確認いたしております。県といたましては、引き続き、適時現地調査を行いまして、許可条件を遵守して開発行為を行うよう事業者をしっかり指導してまいります。
▽高瀬菜穂子委員 しっかり指導できていないからこうして申し上げているんですよね。11月中旬そして馬敷の方は昨日完成をしたということですけどもね、私、6月に見せていただきましたけどすでに伐採されているんですよね。それからずっとこの取水期、たまたまね、たまたま今年は飯塚地方に大雨が降りませんでした。しかしもし降っていたらと思ったらほんとに恐ろしいです。そのことを申し添えておきます。まずは行政指導というふうにおっしゃるんですよね。部長も課長も言われました。行政指導が効果的というふうに言われました。どちらの業者にも違法行為が発覚したあと行政指導を行い、是正計画を出させ、今、現在は指導に従っているので工事の中止、許可取り消しなどの新たな処分の必要はないと知事も今おっしゃいました。ほんとにそうでそうでしょうか。9月14日に調整池が完成していないのに本工事が継続されているのを目撃した住民からの通報を受け飯塚市が確認しています。成末課長は、調整池をつくる過程で発生した土砂の仮置場用地として整地していたもので、造成工事ではないと言われましたけれども、目撃者の証言によると、重機2台で樹木の伐根をしており、法面に土砂を盛って段をつくっていたということなんです。これだと明らかに造成工事なんですね。よく調べていただきたいと思うんです。そして馬敷の方ですけれども、この写真を見ていただきたいと思います。