⚫︎任命責任のある市長がなぜ経過報告をしないのか
副市長の開庁中のパチンコ遊技について及び、市長の対応について市長による経過の報告を求める動議を、日本共産党の川上直喜市議が9月定例会初日の3日、本会議に提出しました。議場に出席27人のところほかに賛成者がなく成立しませんでした。動議の成立には、提出者を含めて3人の賛成者が必要です。※川上市議は、9月6日午後1時から一般質問に立ち、事態の究明に当たります。
この動議は、久世賢治副市長が市役所開庁中にパチンコ遊技を行い、任命責任のある市長がどういう対応をしたか、本会議において、武井政一市長による経過報告を行うことを求めようとしたものです。議会多数派の態度は不思議です。
なぜ、市長による経過報告が必要なのでしょうか。朝日新聞が関係記事を掲載した8月6日以降、様々なメディアで報道が続きましたが市長は、定例記者会見で断片的な発言をしただけです。市長がどういう対応をしてきたかについて、口を閉ざし続けています。市政の中枢で何が起きているのか、市長はどういう対応をしているのか、任命責任をどう考えているのか、市民が説明を求めるのは当然です。
⚫︎議会多数派が市長報告に反対するのはなぜか
市民の代表たる市議会、市政のチェック役としての市議会として、このまま不透明な事態を放置することはできません。9月定例会の初日にあたり、市議会として市長による経過報告を求めるべきでした。
このことについては、8月26日、議会運営委員会において、久世賢治副市長の開庁中のパチンコ遊技、及び市長の対応について、市長による経過報告を9月議会で行うことを川上市議が提案しましたが、受け入れられませんでした。代表者会議において、9月議会では市長から報告を求めないことが確認されているという説明がありました。いったいどういうことでしょうか。
朝日新聞の関係記事の翌日の8月7日、議会事務局にある市議会議員のレターケースに議員宛文書とパチンコ遊技中の副市長の写真、「建議」なる文書、8月13日には、武井政一市長宛、久世賢治副市長宛の公開質問状、8月23日には、武井政一市長らの回答を踏まえる形での武井政一市長宛、久世賢治副市長宛の公開質問状、さらに昨9月2日、「令和6年8月29日付けの回答について」と表題した武井政一市長宛、久世賢治副市長宛が届けられました。最初は無記名で、あとは記名のある文書です。
それらの文書からは、文書に記名のある人物が、市役所の幹部を呼び出し、市長や副市長宛の用件を果たさせ、その結果の報告を求めるという、特別扱いを求めていることが読み取れます。
川上市議が8月6日、情報開示請求を行って入手した、8月19日決定の市長と議長の資料は8月30日、議員のレターケースに届けられました。
この資料には、それぞれに断片的で一面的な記述があることはわかります。文書に記名のある人物の特別扱いは、市役所の部長、次長級の幹部、さらに議会事務局長に及んでいることがわかります。市議会議員は、事態の異常さに十分気がついているはずです。
副市長の辞職表明に関わった市役所の幹部たち
これらの市役所幹部はなぜ、その役割を果たしたのでしょうか。この特別扱いは、市長の指示や容認によるものなのでしょうか。また、警察署に相談し協議したとなっていますが、どういう内容なのでしょうか。
7月17日、経済部の次長級の幹部が預かってきた写真と文書を市長に見せたとき、市長は副市長に事実確認を自ら行わず、この経済部の次長級の幹部にさせたという記述は事実なのでしょうか。事実であれば、市長はどういう判断によって指示したのでしょうか。
久世副市長は、本市の市政運営において重要な役割があります。また、本市を含む広域組合、ふくおか県央環境施設広域組合においては、現在公募中の676億6000万円規模の新しいごみ処理施設整備事業における事業者選定委員の1人です。
辞職の意思を最初は、経済部の次長級幹部を通じて、2度目は文書に記名のある人物に市長応接室で直接伝えたというのは事実なのでしょうか。この辞職表明に、経済部の次長級幹部が同席する中で、この特定の個人に行われたというのは事実なのでしょうか。事実であれば、この行為は、副市長が辞職するときの市役所のルールに従ったものでしょうか。特定の人物に対する密室での辞職表明がほんとうにあったのでしょうか。さらに、辞意を撤回したという久世副市長が、今後、公正な市政運営を行えるのか、この経過を市長は任命責任者として、どう把握して、どう対応したのでしょうか。市長の誠実さがきびしく問われるところです。
市民と市職員を守るために市議会は役割を果たすべき
物価高騰で市民の暮らしが大変、市役所ではみんなが必死に働いている、このときに市民の期待に応えるべき副市長が、開庁中にパチンコ遊技を行って市政に対する市民の信用を失墜させた上、それを写真に撮った人物から呼ばれると、市役所の部長や次長級の幹部や議会事務局長が駆けつけて言いつけを聞いてくる、市長応接室にきた人物から経済部の次長級幹部の同席のもとで、市長応接室で特定の個人に写真を突きつけられ一旦撤回した辞意を再び表明する、なぜこんな特別扱いが罷り通るのか、これで公正な市政運営が行われるのか、広域組合の事業への影響は生じないのか、厳しく問われます。こうした歪んだ事態によって、市職員が犠牲になることは絶対に許されません。
市議会は、公正で透明な市政のために、市民と市職員を守るために、今回の事態の究明に速やかに当たるべきです。市長による経過報告は、そのために欠かすことができなかったのです。