白旗山メガソーラー乱開発強行ストップへ、工事差止仮処分申請の検討を市に要求⋯日本共産党

白旗山メガソーラー乱開発について川上直喜市議は12月14日の一般質問で、アサヒ飯塚メガソーラーとノーバル・ソーラーの開発行為に対して、工事差し止めの仮処分申請を速やかに検討するよう要求しました。質疑と答弁の要点を一問一答で紹介します。

 

 

◉川上議員⋯白旗山メガソーラーについてです。一条工務店の事業計画を引き継いだといっているアサヒ飯塚メガソーラーに対して、市は条例に準じて住民説明会、さらに意見書、見解書の提出を求めているが、その理由は何か。

▼市民環境部長答弁⋯アサヒ飯塚メガソーラーに事業を承継された一条工務店は、条例上の手続きとして説明会、意見書、見解書まで終えており、この事業の承継は自然環境保全条例の手続きも引継がれることになる。しかし、事業者が変更になって本当に前の事業者と同じ内容で工事等を行うか住民も不安であり、また、「自然環境保全対策審議会」でも「説明会は最初から行う」といった意見もあり、条例に準じての実施をお願したもの。

 

◉川上議員⋯相手業者はどういう態度か。

▼市民環境部長答弁⋯6月から7月にかけて打合せをするなかでは、「しっかり対応する」といった内容の発言をされていたが、思うように説明会が運ばないことや経済産業省から10月中旬にFIT法施行規則の改正案が示されたことなどにより、事業者は工事着工を急いでいると感じている。

 

◉川上議員⋯住民説明会をきちんと実施しなければ条例違反ということになると考えるが、見解を伺う。

▼市民環境部長答弁⋯継承前の事業者が説明会、意見書、見解書までの手続を終えられ、アサヒ飯塚メガソーラーには条例に準じて、説明会等をお願いしているものであり、幸袋地区で実施された説明会は不調となっているが、条例違反と言えるものはないと考えている。

 

◉川上議員⋯ノーバル・ソーラーの条例手続き現状をお尋ねする。

▼市民環境部長答弁⋯30.10.15 事業計画書提出、30.10.31 公告、30.11.19 住民説明会(幸袋交流センター)、配布した資料が不足していることを理由に、冒頭から質疑が続き、説明前に紛糾し、30分程度で大半の住民が退席した。ただ、残った数人に対しては説明を継続された。ノーバル・ソーラーとの打合せのなかでも、しっかり条例の遵守について伝えており、11月15日付文書(市長名)で「地域住民との合意が得られるよう、地域住民と十分に協議を行ってください。地元説明会の開催にあたっては、適切な資料等を提示し、丁寧な説明を行うとともに、住民が不安を抱くような事案については、その解消に努めてください。」とお願いをしている。

 

◉川上議員⋯ということは、中断したままということだ。ここで、自然環境保全条例の目的を確認したい。

▼市民環境部長答弁⋯条例の第1条には、「自然環境の変化が市民の生活環境に対する不安を招いている現状にかんがみ、市と市民が連携して、自然環境に重大な影響を及ぼす事業活動を未然に防止することにより、自然環境を保全し、もって安全な生活環境を守ることを目的とする。」とある。この条例がなければ、許可権者が許可をすると、周辺住民はどんな事業が行われるか知らないままに事業が進んでいくことになるので、閲覧、住民説明会で住民が事業の内容を理解し、その事業が環境に重大な影響を及ぼす場合には、その事業活動を未然に防止することがこの条例の目的です。

 

◉川上議員⋯本市の自然環境保全条例は、産廃問題や環境保全をめぐる住民のたたかいのなかで生み出されたものだ。市と市民が連携して乱開発を未然に防ぐために、悪質業者とたたかえるように条例強化の方向が必要だと思わないか。見解を伺う。

▼市民環境部長答弁⋯ほかの自治体では環境影響評価条例や景観条例等、ガイドライン、要綱等に基づいて、事業者に対し一定の手続を規定することで適切な環境配慮を求めている事例がある。しかし、実効性を求めるとなると、やはり法律を超えては難しい、強い規制を条例でかけるにしても何らかの法律に違反していることになりかねない、とりわけメガソーラーに特化して規制をかけることについては慎重にならざるを得ない状況。現在、環境省ではメガソーラーを国の法律に基づくアセスメントの対象とすることが検討されているが、100ha以上のものが対象になる方針と理解している。条例について研究は行っていくが、全国市長会で国に対して提言されているように、既存の法令の対象とならない土地利用について、より小規模な開発についても開発許可の対象としたり、FIT法において防災・安全の確保、景観への配慮、周辺環境の保全、施設の適正な撤去・廃棄の観点から基準を策定して許可するなど法的規制を行うことが実効性を担保するうえで必要と考える。

 

◉川上議員⋯研究をするという答弁だ。新FIT法では、事業計画を含めて計画の住民に対する十分な説明が行われない場合は、コミュニケーション努力義務違反、自然環境保全条例に準ずる住民説明会、意見書、見解書の提出など手続きが無視された場合は条例違反として、経産省に速やかに通報すべきだが、市長の見解を伺う。

▼市民環境部長⋯アサヒ飯塚メガソーラーについては先ほど答えたが、ノーバル・ソーラーは現状では、条例違反とは捉えていない。

 

◉川上議員⋯コミュニケーション努力義務違反は明白であり、経産省に速やかに通報すべきだ。森林法では、アサヒ飯塚メガソーラー、及び、ノーバル・ソーラーが引き継いだ林地開発許可には、違反すると許可取り消しになる場合がある条件が付されています。違反があった場合は、県に通報すべきと思うが、お考えを伺う。

▼市民環境部長答弁⋯事業が許可条件に違反しているのであれば、当然に県に連絡し、情報共有を行うことになる。

 

◉川上議員⋯そもそも白旗山周辺は、本市の上位計画である都市計画マスタープランで緑地保全区域に指定しているところだ。周辺住民をはじめとした12000人もの反対署名、住民大会、街頭宣伝をはじめ、地元自治会を軸にした5年にわたる住民運動の高まりの中で、前市長が市議会で「住民同意のない工事は反対、非常に危険ならやめてほしい」と態度を表明、さらに、林地開発の許可権限を持つ県知事の意見照会に対して「地域のまちづくり方針と整合性が図られていない」とする意見書を提出した。市議会は、地元住民の請願を受けて開発中止要請決議をあげ、一条工務店と悠悠ホームの社長と県知事に送付した。その後、複雑な経過をたどって現在、アサヒ飯塚メガソーラーとノーバル・ソーラーが西と東から、あるいは、北と南から工事を強行しようとしている。この5年間で、最も緊迫した局面を迎えている。この開発行為が、住民の生命財産に深刻に関わること、地元合意がないことは明らかだ。市長は、工事差し止めの仮処分申請の検討を速やかに進めてしかるべきだ。市長の見解を伺う。

▼市長⋯住民のみなさんのお気持ちもわかるし、本日早朝にも不安の声、より納得のいく説明を求める声もお聞きしたところ。ご指摘のノーバル・ソーラーについては、先日残念ながら、協議が十分におこなわれていないという状況もあるので、市としてお願いしても「説明会はしたつもりである」との回答だったが、市として、再々度、こちらからも強く要望して住民への丁寧な説明、不安の解消に努めていただけるよう、市としても取り組んでいきたい。

 

◉川上議員⋯裁判所への仮処分申請が必要ではないかと聞いているわけだ。白旗山西側のけやき台住宅団地の真上の斜面に張り付いた、既設の株式会社快適空間FCのメガソーラーは、今回の西日本豪雨のあった7月6日から7日にかけて地すべりなどの災害が発生した。住宅の真上だ。飯塚農林事務所長が8月27日農林水産部長宛に、林地開発行為地災害発生届け出書について(進達)には、「現地は住宅団地及び水道施設の直上であり、対策工事を緊急に行う必要性がある」としている。アサヒ飯塚メガソーラー開発地のB調整池の計画地はそもそも炭坑の排気口があった可能性もある。B調整池の直下には上高雄ポンプ場、幸袋側のA調整池付近には農業施設がある。それぞれ集水区域が山の東西の半分ときわめて大きいだけに、オーバーフローによる被害は甚大なものとなりかねない。熊本地震で南阿蘇村にある九電の貯水槽崩壊による9戸2人死亡の被災を想起させるものだ。そのほかにも、配水池が3つ、ポンプ場が1つあります。市が管理し責任を持つ重要施設に重大な影響が起きる危険性は高く、市長は工事差し止めの仮処分申請の検討を速やかに進めるべきではないか。重ねて答弁を求める。

▼市民環境部長答弁⋯伊東市の伊豆高原メガソーラー開発のことを念頭にされいると思う。新聞報道等でしか知りえていないが、訴訟の法的適格性のことなど様々な議論があっていると理解している。条例違反だからFIT法に抵触するといったことを判断することは難しい。

西日本豪雨で地すべり災害が発生したけやき台住宅地、市水道配水池の真上の現場。
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